蜘蛛の糸
一
ある日の事でございます。御癌砲様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。
池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊(ずい)からは、何とも云えない好い匂が、絶え間なくあたりへ溢れております。極楽は丁度朝なのでございましょう。
やがて御癌砲様はその池のふちに御たたずみになって、水の面をおおっている蓮の葉の間から、ふと下のようすをご覧になりました。この極楽の蓮池の下は、丁度課金地獄の底に当たっておりますから、水晶のような水を透き徹して、三途の川や針の山の景色が、丁度覗き眼鏡を見るように、はっきりと見えるのでございます。
するとその課金地獄の底に、星蘭と云う男が一人、ほかの癌畜と一しょにうごめいている姿が、御眼に止まりました。この星蘭という男は、人に課金をしないよう注意したり、御癌砲様の悪口をいったり、いろいろと悪事を働いた大癌畜でございましたが、それでもたった一つ、善い事を致した覚えがございます。と申しますのは、ある時この男がプロンテラ北の深い森の中を通りますと、小さなアルゴスが一匹、路ばたを這っていくのが見えました。そこで星蘭は早速ファイヤーボルトで焼き殺そうと致しましたが、「いや、いや、これも小さいながら、命あるものに違いない。その命を無暗にとると云う事は、いくら何でも可哀そうだ。まして倒したアルゴスからカードでも出てみろ、殺したアルゴスより可哀そうなのは俺のほうじゃないか。」と、こう急に思い返して、とうとうそのアルゴスを殺さずに動機はどうあれ助けてやったからでございます。
お癌砲様は課金地獄のようすをご覧になりながら、この星蘭にはアルゴスを助けた事があるのを思い出しになりました。そうしてそれだけの善い事をした報(むくい)には、出来るなら、この男を課金地獄から救い出してやろうと御考えになりました。幸い、側を見ますと、翡翠のような色をした蓮の葉の上に、極楽のアルゴスが一匹、美しい銀色の糸をかけております。お癌砲様はその
アルゴスの糸をそっと御手に御取りになって、玉のような白蓮の間から、遥か下にある課金地獄の底へ、まっすぐにそれを御下しなさいました。
二
こちらは課金地獄の底の残高が無くなったウェブマネーカードの池で、ほかの癌畜と一しょに、浮いたり沈んだりしていた星蘭でございます。何しろどちらを見ても、まっ暗で、たまにそのくら暗(やみ)からぼんやり浮きあがっているものがあると思いますと、それは恐ろしいハズレアイテムの追加受付の完了を知らせるメールを受信したスマートフォンの画面が光るのでございますから、その心細さと云ったらございません。その上のあたりは墓の中のようにしんと静まり返って、たまに聞こえるものと云っては、ただらぐ缶の敗者が云う「当たりがでなくても群星がついてくると考えれば実質勝ち」などという強がりばかりでございます。これはここへ落ちて来るほどの癌畜は、もうさまざまな課金地獄の責め苦に疲れはてて、泣声を出す力さえなくなっているのでございましょう。ですからさすがの大癌畜の星蘭も、やはり残高の無くなったウェブマネーカードを見て涙で咽びながら、まるで死にかかったロッダフロッグのように、ただもがいてばかりおりました。
ところがある時の事でございます。何気なく星蘭が頭をあげて、空を眺めますと、そのひっそりとした暗の中を、遠い遠い天上から、銀色の蜘蛛の糸が、まるで人目にかかるのを恐れるように、一すじ細く光りながら、するすると自分の上へ垂れて参るのではございませんか。星蘭はこれを見ると、思わず手をうって喜びました。この糸にすがりついて、どこまでものぼって行けば、きっと課金地獄から抜け出せるに相違ございません。いや、うまく行くと、のぼって行った先で御癌砲様からぷりちーウリボウシューズを授かることさえも出来ましょう。そうすれば、もう台風の中ウェブマネーを買いに行く事もなくなれば、job教範やヴァルキリーケープに怯える事もある筈はございません。
こう思いましたから星蘭は、早速その蜘蛛の糸を両手でしっかりとつかみながら、一生懸命に上へ上へとたぐりのぼろうとしたのでございます。ところがその蜘蛛の糸は瞬く間に星蘭のまわりに絡みつき、星蘭は身動きがとれない状態になってしまったのでございます。そればかりか、心なしか火属性の攻撃に大変弱くなっているかのように星蘭は強く感じたのでございます。
先生それスパイダーウェブです。
おわり
僕のようにROをやりすぎるとBOSScを出す夢を週2のペースで見るのでみなさんも気を付けてください。
それではまた(*'ω'*)ノ
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